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職務経歴書 その3

ところで、当時のB社での特許実務は、主にこんな感じだったと思う。
(1)発明の抽出のための会議などへの参加
(2)アイデア提案書の審査(出願するか否か)
(3)出願案件の特許明細書作成・出願処理(内作又は特許事務所に依頼)
(4)拒絶理由通知への応答
(5)外国出願
(6)自社製品の特許調査
(7)競合他社の特許調査
(8)係争案件対応

弁理士になってから後の実務経験として、私は(3)の内作(自社の特許担当者がで明細書を作る)を主に担当し、数ヶ月たってから(4)を始めたところで退職した。特許担当者としては、おそらく(3)→(4)→(5)→(6)→(2)→(1)→(7)→(8)のような感じで経験を積んでいく。大抵は担当の製品・事業部門を持ってしばらくそこで経験を積むので、一通り経験するには10年程度かかると思われる。私も一通り経験したかったのだが、そこまで待っていたのではずっと夫と別居になってしまうこと、海外経験も捨てがたいと思ったこと、この機会になかなか踏み切れなかった出産ができるのではないかと思ったことにより、要はワークライフバランスを重視してキャリアの中断を選んだ格好である。

カナダには都合5年半滞在した。その間、2子を出産し、英語とフランス語のコースに半年ずつ通い、地元の大学の法学部に願書を出したが正規入学は認められず、Special Studentとして2年通学した。カナダ時代は非常に生活を楽しんだし、充実した時を過ごすことができた。よい思い出となっている。キャリアだけに焦点を当てると、もの足らないところも残念なところもあるのだが。
※Special Studentは、登録できる単位数に上限があり、積み重ねていっても卒業資格とはならないが、通常の学生と同様に試験はあるし、単位も認定される。

1996年5月にカナダに転居、2001年11月に帰国。B社時代に同僚であり、私がカナダにいる間に独立した弁理士の経営する事務所に入所し、現在に至る。私のキャリア第2期である。

カナダ滞在中も、現事務所から下請仕事をもらったり、帰国時には出所して仕事をさせてもらったりしていた。わりあいコンスタントに仕事をもらっており、帰国の際には正式に勤務する前提になっていたように思う。そんなこともあって、帰国が決まったときも、他に就職先を探す発想はなくて、そのまま勤務先を決めた。

特許事務所の仕事は、事務所によって多少のばらつきがあるのだろうが、大抵こんなところではないか。
(a)新規出願(発明に基づいて出願書類を作成して特許庁に出す)
(b)中間処理
 (出願審査請求→拒絶理由通知→補正書・意見書→拒絶査定(→審判請求))
                               →特許査定
(c)外国出願
(d)侵害訴訟代理・補佐
(e)特許調査
(f)特許等に関連する相談

会社の中での特許業務に比べ、特許事務所の業務範囲は明らかに狭い。ほとんどが権利化業務である(a)と(b)、その延長である(c)に特化している。事務所入所後の私の業務範囲は、8割方が(a)であり、1割程度、しかも最近発生しだした(b)、忘れた頃にやってくる契約などの(f)というところ。ブランクもあり、経験も少ない私としては、がんがん(a)をこなして、自分で担当した案件が審査に係れば(b)をやり、その経験がまた(a)にフィードバックされるという特許事務所の技術担当としては至極まっとうなルートである。

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