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プロファイリング

例えばB社の求人票の記載を眺めてみる。

<知的財産管理>
【仕事の内容】
(1) 特許に関する係争対応(国内外権利行使・訴訟・交渉を含む)
(2) 特許契約における各種調査・書類作成など
  ★海外進出の要となる大変重要な業務です。
(3) 特許ライセンス交渉や特許係争業務
(4) 技術者への知的財産教育や日常的な特許調査業務
(5) 技術者、弁理士事務所と連携して、設計途中で生まれたアイデアの中で可能性のあるものの調査を行い、
  調査後に可能性のある案件の特許出願から権利取得までの一連の業務を行います。
【募集背景】
 海外進出に伴う海外係争案件の増加に伴う増員
【必要な経験・能力など】
 知的財産管理経験者(電気系の知識歓迎。必須の条件ではない)

さて、以上の記載から入社した場合の仕事を想像してみる。
 (4)や(5)の業務は、ごく普通の企業特許担当の仕事。
  特許調査はあまり体系立ててしっかりやったことはないが、まあやっていくうちになんとかなるだろう。
  特許マップ作りとか、他社特許のウォッチングとか、やってみたくても事務所ではニーズがない上に
  コストと手間暇がかかるのでやれなかったのだ。
 (3)はライセンス担当の仕事。
  これは初職で担当していた種類の仕事。当時は上司が意思決定をしていて、私は手足だった。
  さすがにあれから経験も積んだし(権利自体についての知識・ビジネスについての知識)、できるだろう。
  意思決定の足しにするため、やはり中小企業診断士に求められる程度の知識はつけておきたいところ。

 要注意なのは、これらの平常業務をさしおいて、(1)や(2)が冒頭に記載されていて、「海外進出」云々の注意書きまでされていること。B社はいま、国内市場から海外市場の開拓を経営戦略の柱の1つに掲げている。そのため、おそらく海外係争が激増していて、リソースが追いついていないと思われる。上には詳しく書いていないが、組織人員が一桁のオーダーなのだ。この売上規模でそれは足りないでしょう。きっと今まで国内市場だけで勝負してきて、余り問題も起こっていなくてそれで足りてきていたんだな。IPDLで調べてみても、特許の出願・登録件数も驚くほど少ない。

ということは、入社してからの業務は、海外係争対応、海外の弁護士事務所との連携、相手方との直接交渉、契約交渉、これらにまつわる諸々の資料作成などが主になると想像できる。結構スピードも要求されそう。特にアメリカだと、すぐ訴訟に持ち込まれて期限がきつくなりがち。そういえば、B社のプレスリリースである製品がアメリカで訴訟中であり、差し止めされているっていうのが出ていた。海外出張もありだな、きっと。現地に行きっぱなしっていうのは避けたいが、あまり特許係争で技術担当でない担当者が長期に亘ることはほとんどないはず。足固めには日本にいた方が良いからね。

 『海外係争が急に増えてやること満載になり、社内部門を調査と説得のために走り回り、各種の資料を作成して海外にもしょっちゅう出かけていく』って、これ初職のときに直属の上司が嵌ってたことそのものではないか(笑)。私は幸いにもこれをずっとそばで見ていてその指示で各種の資料を作ったりレターを書いたり契約書を作ったりしていたので、いまの自分の知識と経験を使って当時の上司と同じことをやれと言われればおそらくできると思う。ちょうど当時の上司と同じくらいの年齢にもなっていることだしね。感慨深いところだ。当時、そうやって走り回る上司がひどくまぶしく見えて、あんな風になりたいと思ったものだ。この上司、結構癖のある人で、仕事はできるもののそばにいるのはかなわないという評価をされていたけれど、私は彼のそばで仕事をするのが好きだった。


ところで、この求人は、R社を通じて出してもらったものだけれど、B社のサイトに行くと、知的財産管理の求人に加えて、法務の求人も出ている。

<法務>
【仕事の内容】
 企業法務として「企業間取引の契約書作成/チェック」「各部門の法務案件サポート」「クレーム案件/訴訟案件の事実調査・認定」などを行います。
 (a) 企業間取引の契約書作成/チェック
  この業務が中心となります
 (b) 各部門の法務案件サポート
  国内外各種契約(秘密保持契約、業務委託契約、開発契約、販売代理店契約・取引開始契約等)の検討/修正案の作成および交渉。
 (c) クレーム案件/訴訟案件の事実調査・認定
  訴訟案件の事実調査/日程、リスク分析および確定した事実に基づく対応方針案の策定ならびに実行。
【応募資格】
 大卒以上の方(40歳ぐらい迄)
 ・法務業務経験(3年以上)
 ・語学(英語力/TOEIC600程度以上)

 知的財産管理とは別に求人が出ていて、さらに、勤務場所が離れているので、法務というのは知財以外の法務ということか。仕事の内容のうち、さすがに(c)はしたことがない。アメリカの知財訴訟案件に限れば経験ありだが。(a)と(b)については、知財法務の本流仕事ではなかったけれど、幸い持ち込まれる法務仕事は拒まない主義だった上司のおかげでほとんど経験がある。応募資格に英語が書かれていると言うことは、海外との契約なんかもあるということなんだろう。が、600点くらいでは、出張などはなさそう。読み書き程度が求められているということかな。英語で交渉とかしようと思ったら、850や900くらいないと厳しいんだよね。

と考えると、私としてはこちらのポジションでも悪くない。事業には関わりは深い。「弁理士」という枠からははずれるかもしれないが、そこにそれほどこだわりがあるわけではないし。メーカーである以上は、知財方面に明るいということは必要条件とも言える。こちらの方がきっと知財ポジションよりもスピードを求められる度合いは緩いだろうな、と想像。

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